たまには読書の話題。
資産を築くにはサラリーマンではなく、事業家になるというのが一番だというのは昔も今も変わりません。
今回は、阪急グループを作った男、小林一三の伝記になります。
大阪出身の僕にとっては、わりと馴染みがある人で、いつか調べたいなぁと思っていた人物になります。
本書はそんな小林一三の生まれからを割と順序立てて、社会的背景も含めてわかりやすく書かれていました。
もともと三井銀行出身で箕面有馬電気鉄道を設立(のちの阪急)し、東宝などの立ち上げということは知っていたのですが、それ以外に東京電燈(のちの東京電力)に携わったのちに、近衛内閣で商工大臣、幣原内閣で国務大臣兼戦災復興院総裁といった政治にも関わっていたこと。
鉄道から初めて、小売(デパート)、興行(宝塚や東宝)、ホテル、そして電力事業と活動の範囲を広げていった行動力は驚くばかり。そしてなにより彼が持つ天性のアイデアマンっぷり。好奇心旺盛で、かつ経営者としての冷静さと一部には情に深い部分をもち合わせていました。
備忘のために、本書の中に出てくる小林一三の経営哲学をいくつか書き出しておきます。
私の仕事は大衆相手の平凡なものだ
彼が手掛けた仕事は大衆のニーズを上手にとらえただけということ。そしてそのことへの感謝を忘れた者はしっぺ返しを食う。
えらい人ってのは、つまり世の中に対して貸勘定が多い人ってこと
大衆に楽しさ、便利さの貸勘定という考え方が凄い。著者はこれほど夢のある人生がほかにあろうかと評しています。
胆大心小
大胆で、かつ細心であること。度胸は大きく、注意は細かく払うべきこと。成功に浮かれ、一時の勢いで事業を進めてしまってはいけない。事業は研究に研究を重ねて、これなら大丈夫と確信がついてから始めるものであるということ
そんな小林一三ですが、若かりし頃は女遊びにはまっています。これはカエサルや坂本龍馬もそうでしたね。おそらく女遊びができるということは、生力(精力も含めた生きる力)があり人間的に魅力があったのでしょう。そんな人が大成するのかもしれません。
非常に面白い一冊でした。