著者がなくなったということで手に取ってみました。
本書では、芸能界からはじまり、ビジネス、労働市場、教育などから地方創生まで、「戦略」という形の考え方が書かれています。
ヒットの戦略では、AKBが取り上げられ、芸能人が売れた場合に想定される3つの壁が書かれています。
3つの壁とは、
- どの人材が売れるかわからない
- 売れた後の稼働率の問題(人のやることなので、限界がある)
- 売れると、タレント側に契約の主導権が移る
というもの。これを戦略的に回避したのが、AKBに代表される「アイドルまとめ売り」ということである。
またビジネスの分野においては、大企業の社員が中小企業の社員に比べて給料が高いのは、従業員1人あたりにかけられる「付加価値」(資本・スケールともいえる)が大きいので、給料も高くなるというわけです。
同じ労働力を投下するのであれば、規模の原理が働くというわけです。
もう一つ、資本主義社会において高い報酬を望むのであれば、「資本=儲ける仕組み」の形成をするしかないということも述べられていました。これはホリエモンなども言っていることですよね。労働力の提供だけでは限界があります。
そのほか、イノベーションは少数意見から生まれる。そのために一見無駄に思われる仕事にもリソースを振り分ける必要があること(グーグルの仕事の2割は好きなことをしてもよいもこの考え方からですね)。
会社の評価は、商品市場、資本市場、人材市場で評価され、人の出入りが企業の先行指標になることなど、なるほどと考えさせられることなども見受けられました。
特に勉強になったのは、企業の戦略として、「どの土俵なら勝てるのかを見極め、勝てる土俵を選ぶ」ことの重要性についてでした。楽勝でできることを徹底的にすることが、一番効率が良い。
これって人生においても応用できますよね。
全体通して、お題が散在していますが、それもまぁ具体例が豊富に出されていると思えば、わかりやすい本になったことだと思います。
著者は、「戦略とは、弱者のツール」と述べます。
(半沢直樹でもこんなことが語られていましたね…)
今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み・弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすること。
僕ら就職氷河期世代は、まさしく「弱者」。こっそり簡単に勝てる場所で勝負する、そんな生き方をするしかありません。