好きな作家のひとり、橘玲氏が幸福についてまとめた本。
以前、読んだような気がするものの、ブログに感想の投稿がなかったので改めて再読しました。
氏は、幸福を「金融資産」「人的資本」「社会資本」の3つの土台から成り立つと定義をすることから始めています。
金融資産とはお金のこと。お金を持つことで多くのことの選択の自由を手に入れることができます。
人的資本とは、仕事を通じての自己実現としています。ある部分では金融資産につながっていく部分でもありますが、そこだけではないことが重要。。
社会資本とは人的ネットワーク、言い換えると共同体や絆といったものになります。人はどこかに属していたい、評価されたいという欲を持ちますので、ここの充実も幸福のひとつの要素になります。
この3つの土台のどこを持つかによって幸福のパターンが分かれるとしています。3つとも持つことなどほぼ不可能である一方、3つともを失ってしまうと最貧困に陥るということになります。3つの土台のうち2つを持つように目指すのが現実的な目標になります。
その上で、著者が考える幸福の最適戦略は下記のようになります。
金融資産においては、「経済的独立」を実現し、お金の不安から解放され自由な人生を手にする。昨今のFIREはこれを目指します。そのためには分散投資が最適解となるとしています。世界の成長にかけるインデックス投資をするということですね。
ですので「FIRE」をしたらやることなくて不幸せという論は、そもそも幸福のジャンルが違うということですね。
人的資本については、子どものころのキャラを天職とし、「ほんとうの自分」として自己実現をします。好きなことに集中投資することこそが、最適だと。
社会資本については、小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散するとしています。
政治空間から貨幣空間に移ることで人間関係を選択できるようになります。この政治空間とは、しがらみの世界。一方、貨幣空間とは、フリーエージェントのように出入り自由な弱いつながりで繋がっている世界になります。
これについては著者は他の本でも出入り自由な共同体が一番居心地が良いと説いています。
上記のような人生設計の理想のポートフォリオを手に入れれば、運命的にどうしようもないものを除けば、日々のストレスはほぼなくなります。
こうして手に入れた幸福ですが、人間というものは慣れがあり、幸福にも慣れが出てきます。
ですので一気に幸せになるよりも、実は他人よりもちょっと幸せ程度がちょうど良く、幸福な人生を目指して頑張っている時が最も幸福なのかもしれません、としています。
こうした考え方は、僕にとって非常にマッチしたものです。だから著者の本が好きなんでしょうね。そんな僕に著者はこんな言葉を残しています。
ひとは自分と似ている人からの助言がもっとも役に立つ。
ある哲学者の言葉だといいいます。自分の後押しをしてくれる言葉が一番しっくりくるんですよね。