2017年の本ということで、ちょっと前の本になります。コロナ前ですね。
さて本書ですが、非常に示唆に富む本でした。
著者は、未来は「お金」「テクノロジー」「感情」のベクトルで方向が決まっていくとしています。
ひとつひとつがさらに掘り下げられています。
身分制度から資本主義社会になったのが、ここ数百年のお話。資本主義社会における経済とは欲望のネットワークで「本能的欲求」「金銭的欲求」「承認欲求」にわけられるとしています。
発展する経済システムとは、個人に依存せず、仕組みで動きます。持続的かつ自動的に発展していくような「経済システム」には①インセンティブ、②リアルタイム、③不確実性、④ヒエラルキー、⑤コミュニケーションの共通点があるとしています。また経済システムには寿命があり、それを前提にしておく必要があるとしています。
テクノロジーについては、現在社会に起きているのは「分散化」。分散化が進むと仲介では価値を発揮できなくなっていきます。これはBtoCの活況をみてもわかりますね。この分散化の流れとして出てきたのが、シェアリング、そして仮想通貨となります。
感情については「価値」という項目として掘り下げられています。資本主義から「価値主義」へというのが著者の持論になります。
少し前から話題になるソーシャルキャピタルを持つことの重要性を説きます。
YouTuberにとってはお金を失うよりもフォロワーを失う方が痛いということを例にあげ、ソーシャルキャピタルを持っていれば、それをマネーに変えることができるということ(投げ銭やクラウドファンディングなど)。
一つ著者のスタンスで面白かったのは、複数の経済は並列しうるということ。ソーシャルキャピタルの台頭は続きますが、それが唯一の正解ではないということ。
すでにマネーキャピタルを持っている人はその経済圏に属していてもいいということ。もちろん新しいソーシャルキャピタルを高めたい人も正しい。
各個人の価値観で選べばいいという論になります。ここにも多様性を認める社会の重要性が説かれていますね。
「お金」から解放されて「人生の意義」を問う時代へ。
「お金」ではなく「価値」を高めるということを選択する時代。企業に求められ始めたのはここ数年ですが、いずれ個人にもその波がくるでしょう。
お金の心配から解放されたとき、どうしますか?