2007年のサブプライム問題。資本主義の終焉、100年に一度の危機とも言われたその裏側で、勝った人間もいる。
本書では、その2000年代中頃に、サブプライムの仕組みに矛盾を感じて、空売りをするファンドの主催者らの物語です。
明らかにおかしいと思う矛盾をつき、売りポジションを持つ、そのストレス部分が非常に伝わってきます。また儲けた後も、それほど気持ちの良いものではないということも。本書が勝者の物語であるにもかかわらず嫌味ではないのは、そうした心理状態までも書かれているからでしょうか。
本書にも書かれていますが、ウォール街の負債は、納税者に広くなすりつけられ、それによって主宰者たちは私腹を痛めずに済んでいます。このあたりに世の無常さを感じ得ずにはいられません。
著者は、「マネーボール」のマイケルルイス。あとがきで知りましたが、実は彼は、元々、投資銀行のトレーダーだったとことに驚きでした。
あと、本書の帯は『アベノミクスで儲けたい人はこれを読め』とありました。あとがきによるとそれは、「日本の破綻に賭けろ」ということのようです。
日本の破綻に賭けるポジションをとるということは、この本の主人公のような気分になるでしょうね。
周りはその行動に理解を示しません。
そして、儲かったとしても決して気持ちのいいものでもないということを。
- 作者: マイケルルイス,Michael Lewis,東江一紀
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/03/08
- メディア: 文庫
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