お金について、徒然と。

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(読書)江戸の小判ゲーム/山室恭子  読んで思う、お金を回すことに昔も今も四苦八苦していること

ふるさと納税やら株主優待やらと現物的な記事が多いので、今回は趣向を変えてお金に関する本の記事です。今回読んだのは「江戸の小判ゲーム」というもの。

経済学から江戸時代を考察することで、教科書的な江戸時代の印象を覆します。

驚きのポイントは、

  • 武士と商人がもちつもたれつの関係
  • 幕府の役人はクリエイティブな政策を作っていた
  • 幕府の貨幣制作は清廉潔白

という3つのポイント。棄損令などの例で面白く読ませていただきました。

江戸幕府日本銀行も根本は同じ経済政策である

上記のような点も面白いのですが、個人的に一番興味深かったのは、江戸幕府の経済政策が、いかに市中にお金をまわらせるかということに四苦八苦していたこと。

本書中に下記の公式が出てきます。

 

M=kPY

(貨幣総量=マーシャルのK×物価×実質GDP

 

という公式で、Mを大きくすることが景気浮揚につながります。そのために紙幣を刷れということなのです。

しかし実はポイントは「K」の部分。この「K」は貨幣選好であり、富の貯蓄はマイナスに働きます。富は放出されて初めて社会全体の景気浮揚につながります。

 

「増やすより回転させる」

 

これって時を経て、今に日銀政策と同じですよね。貯めこんでいるのは、江戸時代は商人であり、現代は銀行であるということです。

 

江戸時代では回転させるために50年に一度の棄損令をやったり、貨幣改鋳をしたりとしています。

ちなみに現代ではマイナス金利です。

ボスは、江戸時代は松平定信で、現代は黒田総裁ということです。

 

こんなことを感じる歴史書ってあまりありませんよね。

経済の根幹は同じで手段が変わってきているだけなんだと感じた一冊でした。

 

江戸の小判ゲーム (講談社現代新書)

江戸の小判ゲーム (講談社現代新書)